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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
「…澄佳さん…!」
「…私…私…どうしたら…」
迷い子のように哀しみ、混乱する澄佳を胸に抱いたまま、その美しく艶やかな黒髪を撫でる。
…熱い想いは温められた甘美な蜜のように一気に溢れでる。
息を詰めたように…けれど熱く滾るように告白する。
「…貴女が好きです…!」
宮緒に哀しみを委ねていた澄佳がびくりと震え…その華奢な身体が強張った。
そんな澄佳を逃さないように強く強く抱き締める。
「…貴女が好きだ…!
初めて会った時からずっと…ずっと…!
兄さんのものでなかったら…僕は…貴女を…!」
…そうだ。
口に出さなかったのは、この美しいひとへの想いをまざまざと認識するのが怖かったからだ。
口に出したら、このひとを我がものにせずにはいられないからだ。
それが怖かったから、今まで己れの心から眼を背けていたのだ。
…兄を裏切ることが、自分にとって何よりの罪と背徳だったからだ。
…けれど今は…。
この誰よりも美しく可憐なひとを哀しみの淵に突き落とした兄が許せない。
何よりも許せない…!
宮緒の胸から逃れようと、澄佳がか細い腕を突っぱねる。
「やめて…やめてください…!」
「…私…私…どうしたら…」
迷い子のように哀しみ、混乱する澄佳を胸に抱いたまま、その美しく艶やかな黒髪を撫でる。
…熱い想いは温められた甘美な蜜のように一気に溢れでる。
息を詰めたように…けれど熱く滾るように告白する。
「…貴女が好きです…!」
宮緒に哀しみを委ねていた澄佳がびくりと震え…その華奢な身体が強張った。
そんな澄佳を逃さないように強く強く抱き締める。
「…貴女が好きだ…!
初めて会った時からずっと…ずっと…!
兄さんのものでなかったら…僕は…貴女を…!」
…そうだ。
口に出さなかったのは、この美しいひとへの想いをまざまざと認識するのが怖かったからだ。
口に出したら、このひとを我がものにせずにはいられないからだ。
それが怖かったから、今まで己れの心から眼を背けていたのだ。
…兄を裏切ることが、自分にとって何よりの罪と背徳だったからだ。
…けれど今は…。
この誰よりも美しく可憐なひとを哀しみの淵に突き落とした兄が許せない。
何よりも許せない…!
宮緒の胸から逃れようと、澄佳がか細い腕を突っぱねる。
「やめて…やめてください…!」