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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
車の中で、澄佳が打ち明けたことは宮緒の胸中を激しく波打たせた。

「…こんな恥ずかしいこと…貴方じゃなければ相談できないの…。
だから軽蔑しないで…」
苦しげな声が震えていた。
宮緒はその白く華奢な冷たい手に温もりを与えるように握り続けた。
「軽蔑などするわけがありません。
何でも仰ってください」
暫しの沈黙ののち、柔らかな桜色の唇が開かれる。

「…私…昨日…片岡さんに抱かれたの…。
最初は抵抗したのだけれど…愛していると言われて…抗えなかった…。
…だって…私もあのひとを…愛しているから…」
…消え入りそうな小さな声…。
羞恥と屈辱に苦悩している声だ。
「…はい…」
努めて冷静な声を出そうとする。
「…それで…片岡さんが…私に片岡さんの子どもを産んで欲しい…と。
奥様とは子どもを儲けるつもりはないから…と。
…最後まで…避妊しないで…」

宮緒の身体に今まで感じたことのない滾るような怒りの感情が走る。
「…私…今までは片岡さんの子どもが欲しかった…。
それは、片岡さんが独身だと思っていたから…。
…でも…奥様がいらっしゃると分かった今は、嫌なの。
私の子どもを私生児にはしたくないの…。
大人の都合で、最初からそんな試練を与えたくないの…」

…一気に言って、はっと口を噤んだ。
頭を下げて詫びる。
「…ごめんなさい。
貴方の前で言うべき言葉じゃないわね…。
私、無神経だわ…自分勝手ね…酷すぎる…」
宮緒はすぐ様に首を振る。
「いいえ、いいんです。それが正論です。
子どもにはきちんと両親が揃っているのに越したことはないのですから…」
勇気付けるように、強く手を握りしめる。
「…それで?」
「…それで…私…妊娠したらどうしよう…て。
こんな状態であの人の子どもは産めない…。
誰かに憎まれて、子どもを産むのは嫌…。
私の子どもが誰かの憎しみと哀しみになるのは嫌なの…。
…私、わがままかしら…。エゴイストかしら…」
「いいえ、そう思って当然です。
兄さんは…社長は余りに傲慢です」
…生まれて初めて尊敬する兄を批判した。
そうして、澄佳の手を引き寄せ、優しく安心させるように口を開いた。
「…今から婦人科に行きましょう。
アフターピルを処方してもらいましょう。
望まぬ妊娠を避ける為の薬です。
…大丈夫です。僕が付き添います」


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