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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
「社長…私は…!」
「…知っているだろう?
澄佳はピルを飲んでいる。
俺の子どもを生まない為だ」
宮緒が息を飲むのを冷静な眼差しで見つめながら続ける。
「…驚いたよ。
どうりで澄佳を抱いても抱いても妊娠しないはずだ。
こんなに滑稽な話はない。
俺は澄佳の子どもが欲しかった。
子どもが欲しいと思わせた唯一の女だったからだ。
けれど…。
俺は種付け馬ですらなかったんだ。
…澄佳にとって俺はなんだったんだ?
従順に俺に尽くし、従い、抱かれながらも俺との子どもを身籠ることを密かに拒み続けていた。
…なんてしたたかな恐ろしい女だ」

宮緒は堪らずに、片岡を強く見据えた。
「そんなことを社長が仰るのですか⁈
そうさせたのはどなたですか⁈」
兄に対して初めて大声を上げる。
「社長が澄佳さんに嘘を吐かれていたからではありませんか。
澄佳さんはご自分にお子様ができることで麻季子さんを悲しませ苦しませることを危惧して…苦渋の選択で妊娠しないことを選ばれたのですよ。
本当は社長とのお子様が欲しかったに違いありません。
…そのことをどうして分かって差し上げないのですか?」

片岡は宮緒の激しい言葉に叱咤するわけではなく、むしろ穏やかとも言える口調で語り始めた。
「…お前は俺よりもずっと澄佳のことを理解しているようだな」
「…社長…」
「…あのクリスマスの日、澄佳はお前といた。
すべて知っていたよ。
お前と澄佳はずっと前からお互いに惹かれあっていた。
そんなことを俺が知らなかったとでも?
…ああ、弁解はしなくていい。
お前達は寝てはいない。
一線を超えてはいないことを俺は知っているさ。
…セックスはしない。お互い想い合うだけの綺麗な綺麗な恋愛だ。
笑ってしまうよ。
俺はコキュですらないんだ。
完全に蚊帳の外さ」
不意に可笑しそうに…常軌を逸した笑い声を上げた。

そうして冷たい笑みのまま、切り捨てるように告げた。
「飼い犬に手を噛まれたとはこのことだ。
ずっとお前を可愛がってやったのに。
恩を仇で返したな。
…愛人の息子風情が…!」

宮緒の胸の内で音を立てて、何かが跡形もなく砕け散った。
掠れた…小さな声が、喉の奥から溢れ落ちた。
「…兄さん…」

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