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星逢いの灯台守
第2章 忘れ得ぬひと
…それから起こったことは、まるで通俗で陳腐なサスペンスドラマのような出来事であった。
未だに信じ難い思いに駆られるほどに…。

…宮緒が上海に旅立つ前のことであった。
最後に澄佳に逢いたいと、彼女のマンションを訪ねた宮緒が目にした光景は、現実とは思えないものであった。

片岡の妻、麻季子が澄佳の首を締め上げていたのだ。
「麻季子さん⁈
何をされているのですか⁈」
宮緒は麻季子を突き飛ばし、澄佳を抱き上げた。
ぐったりしている澄佳の唇を押し開き、必死で酸素を送り込む。
「澄佳さん、しっかりしてください!今、救急車を呼びます!」
懸命に呼びかける宮緒を他所に、麻季子は奇妙な高笑いをしていた。
「…この女がいけないのよ!私から直人さんを奪ったんですもの!
この女さえいなかったら…直人さんは私を愛してくれたのよ…!
この女さえいなかったら!」
「…麻季子さん…」

呆然とする宮緒の前で、麻季子は声を放ち子どものように泣き始めた。
「直人さんを返して…返してよ…!返してよ…!」




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