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星逢いの灯台守
第3章 空蝉のひと
部屋に入ると、宮緒は荒々しく女の細い手首を掴み、上がり框の壁にその華奢な身体を押し付けた。
女はその白く美麗な貌に怯えたような表情を浮かべた。
「…こんな風にされたかったのでしょう?」
「…え…?」
女の形のよい白い顎を掴み、貌を近づけて囁く。
「…見ず知らずの男に…無体をされてもいいと…。
貴女のように美しく上品な…慎しみ深いひとが…。
こんなに簡単に、男と一夜を共にするなんて…」
宮緒の言葉に非難がましい色を感じ取ったのか、女は哀しげに眉を寄せる。
「…簡単ではありませんわ。
簡単に…こんなこと…決意できません…」
不意に女への不憫さと…それを遥かに上回る愛おしさがこんこんと湧き上がった。
「…すみません…。
貴女のように美しいひとが…もしタイミングが違えば、他の男にこの綺麗な身体を与えたのかと思うと、無性に腹立たしくて…」
素直に詫び、女のやや乱れかかった黒く艶やかな髪を撫でる。
女は泣き出しそうな笑みを浮かべ、宮緒の頰にその白くほっそりとした指を伸ばした。
「…誰でも良い訳ではありませんわ。
…貴方だから…私は…」
「僕だから身を任せても良いと…?」
「…ええ…。
貴方からは、私と同じような匂いがしたのです。
…愛するひとに愛されなかった…哀しい孤独の匂いが…」
宮緒ははっと貌を強張らせ、女を見つめ返した。
女の微かな声が、宮緒の鼓膜を震わせる。
「…今夜はすべてを忘れていただけませんか…?
…今夜だけ…私を…求めてください…。
…私の…何もかもを…」
雷鳴が再び轟き、白い閃光が真昼の如く輝いた。
その稲光に照らされた女の貌はぞっとするほど美しく…そしてこの世のものとは思えぬほどに禍々しくも妖艶であった。
…宮緒は瞬きもせずに女の黒々とした瞳を見つめながら、その艶やかに紅い口唇を強引に奪っていった…。
女はその白く美麗な貌に怯えたような表情を浮かべた。
「…こんな風にされたかったのでしょう?」
「…え…?」
女の形のよい白い顎を掴み、貌を近づけて囁く。
「…見ず知らずの男に…無体をされてもいいと…。
貴女のように美しく上品な…慎しみ深いひとが…。
こんなに簡単に、男と一夜を共にするなんて…」
宮緒の言葉に非難がましい色を感じ取ったのか、女は哀しげに眉を寄せる。
「…簡単ではありませんわ。
簡単に…こんなこと…決意できません…」
不意に女への不憫さと…それを遥かに上回る愛おしさがこんこんと湧き上がった。
「…すみません…。
貴女のように美しいひとが…もしタイミングが違えば、他の男にこの綺麗な身体を与えたのかと思うと、無性に腹立たしくて…」
素直に詫び、女のやや乱れかかった黒く艶やかな髪を撫でる。
女は泣き出しそうな笑みを浮かべ、宮緒の頰にその白くほっそりとした指を伸ばした。
「…誰でも良い訳ではありませんわ。
…貴方だから…私は…」
「僕だから身を任せても良いと…?」
「…ええ…。
貴方からは、私と同じような匂いがしたのです。
…愛するひとに愛されなかった…哀しい孤独の匂いが…」
宮緒ははっと貌を強張らせ、女を見つめ返した。
女の微かな声が、宮緒の鼓膜を震わせる。
「…今夜はすべてを忘れていただけませんか…?
…今夜だけ…私を…求めてください…。
…私の…何もかもを…」
雷鳴が再び轟き、白い閃光が真昼の如く輝いた。
その稲光に照らされた女の貌はぞっとするほど美しく…そしてこの世のものとは思えぬほどに禍々しくも妖艶であった。
…宮緒は瞬きもせずに女の黒々とした瞳を見つめながら、その艶やかに紅い口唇を強引に奪っていった…。