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第3章 空蝉のひと

宮緒はゆっくりと、その小振りな碗を伏せたような白く美しい乳房を掬い上げるようにして握りしめた。
「…ああ…！」
女は甘い吐息を漏らす。
「…こんなに美しい身体を…十年も秘密にしていらしたなんて…勿体ない…」
握りしめれば淡雪のよう解けて消え果てそうな乳房を柔らかく揉みしだく。
「…んんっ…は…ああ…」
びくりと身体を震わせて、吐息を漏らす。
「…息子さんには…こんなことはされなかった？」
わざと両手をいやらしく蠢かせ、乳房を愛撫する。
「…されませ…ん…」
「されたかったの？」
唇を噛み締め、涙を浮かべて見上げる眼差しの色に未だに恋慕があるような気がして、宮緒はつい手荒に乳房を握りしめた。
「…んんっ…！」
小さく呻く女の身体にのしかかりながら、告げる。
「大丈夫ですよ。貴女のされたいことは、僕が全部してあげるから…。
…どんなに淫らなことも全て…」
「…は…ああ…んっ…」
羞恥と…久々の快楽に喘がせる口唇を貪るように奪う。

女の身体を押さえつけたまま、ジャケットを脱ぎ捨てシャツのボタンを緩める。
そうして女の鼠蹊部に己れの下腹部を合わせ、じっくりと押し付けた。

…女は、スラックス越しの宮緒の熱く硬い昂りを感じ取ったのか、はっと息を飲んだ。

「…分かりますか？
貴女が欲しくて…こんなになっている…」
宮緒は卑猥に上下運動をさせながら、兆した下腹部を更に押し当てた。
「…あ…ああ…熱…い…」
譫言のように口走る女の上気した耳朶を甘噛みする。
「…これが貴女の中に入るのですよ…。
貴女の中に入って…貴女を思う様に犯す…。
嫌だと言っても、やめて差しあげられないかも知れません…。
…なぜなら…僕は今、貴女が欲しくて欲しくて堪らないから…」
「…ああ…そんな…いやらしい…こと…言わないで…」
息も絶え絶えに懇願する女の目元はうす紅に染まり、眦から水晶のような涙が一筋溢れ落ちた。

「…可愛いひとだ…。
慎み深くて上品で…性欲など微塵もないお貌をして…実はとても淫らで…男を欲している…。
だから僕を選んだ。
…行きずりの僕を…。
…正直な方だ…」
「…もう…ゆるして…お願い…」
啜り哭く女の顎を掴み、濃厚で淫らな口づけを与える。
口づけの合間に、甘く囁く。

「…貴女の願いのまま…抱いて差し上げますよ…。
淫らな獣のように…めちゃくちゃにして差し上げる…」