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星逢いの灯台守
第3章 空蝉のひと
由貴子は息を呑んだ。
その高貴な京人形めいた端麗な瞳は大きく見開かれ、宮緒を見上げた。
「…そんな…嘘ですわ…」
その瞳を宮緒の熱い眼差しが絡め取る。
「嘘でこんなことは言えません。
ましてや、貴女のご自宅にまで押しかけて…。
…貴女のことが忘れられないのです。
貴女の夢を毎晩見るのです。
貴女は僕の心をすっかり奪っておいて…それなのに脅迫しに来たと仰るのですか?
酷い方だ…本当に酷い…」
情熱的に由貴子を掻き口説き…その白い腕を引き寄せる。
「…あ…っ…」
華奢な由貴子の身体は、すぐ様宮緒の胸に抱き込まれてしまった。

…あの熱く狂おしく甘美な一夜が生々しく蘇る。
宮緒は強く強く由貴子を抱き竦める。

「…僕は貴女にずっと恋い焦がれていたというのに…あの一夜以来…ずっと貴女を忘れられずに…」
髪を撫でられ、鼓膜に熱く甘く恨み言を吹き込まれるのを、由貴子は唇を噛み締め…必死に押し返す。
「やめてください…!」
「由貴子さん…」
宮緒が眉を寄せ言いかけるのを制するように、紬の襟をきつく搔き合せる。
そうして、凛とした落ち着いた声で言い放った。

「…茶室で一服差し上げますわ。
…どうぞこちらにいらしてください」







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