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不倫のはて
第8章 交差する時

 行くあてもなくなく
電車を乗り継ぎ 気づくと
そこに来ていた。
直樹と来た 思い出の公園。



 河原の堤防の脇の公園。
そこから 緩やかにカーブを描く
散歩コースが3キロ程繋がる。
乾いた風が 公園の落葉樹の葉を
サヤサヤ揺らしている。
空は 青く晴れ渡り
吸い込まれそうなほど 高い。


 午前10:00
私は 一人で ボンヤリ
時間にまかせ 歩いた。
何も考えず
澄みきった空気を 胸にいっぱい
吸い込み 穏やかに流れる
河面を見ながら


 何年も 
こんな時間を過ごしたことがなかった。
忙しく慌ただしく 過ごしてきた。
ゆっくりと流れる時間に
近くのベンチに腰かけた。
時間も忘れて
河面をただ眺めていた。

 あの日は夜の公園だった。 
直樹と川面を眺め 夜空を見ていた。
スーと 落ちた 
流れ星を見つけ 二人同時に

 「あっ  流れ星・・・・・」

 「結婚しようね」って
直樹は 長い腕を
私の肩に掛け
耳元で そっと囁いたっけ・・・・・

 遥か遠い記憶が昨日のことのように
胸に甦った。 
あの時の光景が
閉じた目の奥に浮かぶ。
一人目を閉じたまま
澄みきった空気を感じ
ただそこに身を置いていた。


 







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