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不倫のはて
第8章 交差する時


 どのくらい そうしていたのだろうか。
人の気配を感じて
ふと 目を開けた。

 「えっ 」
目に映ったのは
困ったような はにかんだような
笑顔の直樹が 立っていた。
 
 「どうしてっ」

 「不思議だね。今日は 休みだったんだ。
いい天気だから・・・ 

実は 休みの度に ここに来ていた・・・・」 
って直樹は 笑顔のまま
そう 言った。


 あれから 連絡が取れなくなって
もう 会えることは ないだろう・・・・
二人とも そう思っていた。
同じ時間に 同じ場所へ
来るなんて そんなこと
あるわけないって

 でも 直樹とヒ私は
磁石の北と南のように
引き寄せられ
抗っても 抗えない
十何年という歳月を越えて
こうして 会えた。

 「俺も ヒナも
もう 失なうものはないよ。
また 最初からやり直そうよ・・・・」

 直樹はヒナの前に立ち
長い腕を背中に回し
ヒナを広い胸に
抱きしめた。



 陽子・・・・
陽だまりのようだと
日向のようだと
ヒヨコのようだと
言って 
笑っている・・・・・ 




 



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