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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第9章 白馬黒哉について
ラブホで一晩明かした私達は、
これから私の通う護身術の教室に向かうことになった。
いやどうしてそうなったって、私が聞きたいよ。
白馬くんが例の「大事な話」を
そこで話すっていうんだもん。
むしろ、そこじゃなきゃ駄目なんだって。
電車を乗り継ぎながら、向かうこと約一時間。
やっと教室に着いた。
今は午後一時だし、普通に開いてるよね。
「白馬くん、こっち。」
「うん。」
……なんだか彼、
少し緊張してる…というか、どこか神妙な顔つきだ。
ドアを開けると、そこにはいつも通りの練習風景が。
うんさて。
ここに来たはいいけど次はどうするんだろ。
白馬くん何も言わないし、何もしないし。
少し困っていると、
奥で指導していた龍道さんがこちらに気付いた。
早歩きで私達に近づきながら、声をかけてくる。
……が。
「山下さん、どうされたので?
今日は練習がないはずでは……」
小さく、徐々に途切れていく言葉。
そして、いつも無表情を貫いていた龍道さんが、
白馬くんを見るなり大きく目を見開かせた。
「……黒哉様…?」
────え、「様」?
その前に白馬くんのこと知ってるの?
なにこの雰囲気どういうこと?
さまざまな疑問がポンポンと頭に浮かぶ。
白馬くんの方を見れば、
彼は儚く微笑んで龍道さんを見ていた。
「久しぶり、龍さん。」
……全然ついていけない。
「白馬くん、どういうこと?龍道さんとお知り合いなの?」
たまらず質問を投げかけると、
彼はわたしに視線を移し、ゆっくりと口を開いた。
「先輩、御堂形って知ってる?」
「え?う、うん。龍道さんのご出身で、武道の名門だよね?」
答えると、「そう」と優しく頷く彼。
その様子を複雑な表情で見守る龍道さん。
そして、白馬くんは耳を疑うような事実を私に告げた。
「実は俺、御堂形の息子なんだよね。」
「────え?」