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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第9章 白馬黒哉について


と、突然すぎて思考が追いつかない。


えっと、龍道さんが未だ勝てないと言っていた
御堂形の息子が白馬くんで。

つまりは御曹司……?

だから異常にお部屋が大きかったのかな。
喧嘩が強かったのも、
不良だったからじゃなくて御堂形仕込みだったから?

あれ、でもなんで会社員なんてやってるんだろ。
普通なら跡を継がなきゃいけないよね。


ぁぁぁぁダメだ分からないことがいっぱい。


頭から湯気が立ち上りそうになっていると、
見兼ねた白馬くんがクスッと笑った。


「先輩、全部教えてあげるから大丈夫。龍さん、どっか三人で話せるところないかな。あなたにもお礼を言いたいから。」


すると、龍道さんは「承知です」と頷いた。

案内されたところは、龍道さんがよくいる奥の部屋。
すごい、賞状とメダルがたくさんある。
やっぱり龍道さんって強いんだ。


「どうぞお掛けください。」


龍道さんから椅子を用意され、
二人並んで腰を掛ける。

なんか病院の診察みたい。


「龍さん、まずありがとね。この子に護身術教えてくれて。あなた独特の癖がうつってたからすぐ分かったよ。」

「いやはや恐れ多い。まさか山下さんと黒哉様に繋がりがあったとは、人生分からないものですな。」


いかにも旧知の仲といった雰囲気。
白馬くんも繕ってる感じがしない。


「先輩、龍さんはね、子供の頃俺の練習相手をしてくれてた人。御堂形の中でもかなりの腕だったんだよ。まぁ俺は圧勝だったけど。」
「おぉ、サラッと自慢ぶっ込むね。」


なるほど。
子供の頃からの付き合いとなると、
二人のこの雰囲気も納得かも。


「そういえば、白馬くんの名字が御堂形じゃないのはどうして?」
「白馬は母方の姓。クソ親父の姓なんか継ぎたくねぇから。」


その言葉に、龍道さんが少し複雑そうな表情を見せた。

…白馬くんはお父さんを嫌ってるのかな。


「……先輩。俺のつまんねぇ昔話、聞いてくれる?
それに龍さんも。あなたが御堂形を出て行った後のこと、ずっと気になってたんでしょ?」


白馬くんの問いかけに、私と龍道さんは静かに頷く。


ここで、これまで彼に抱いてきた謎が
全て明かされることになる。

なぜ不良になったのか。
なぜ寂しそうなのか。


そして、
「今もグレてる途中」という
フリの言葉についても────。

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