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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第10章 甘い微熱と寂しさと
────白馬サイド────
先輩が仕事を抜けた。
彼女にしては、
かなり体調の悪さを隠せていた方だと思う。
目もしっかりさせていたし、
だるい素振りも見せていなかった。
たぶん、周りの人は気づけないレベル。
……俺にはバレバレだったけどね。
さて。
果たして、
人前であんなことをしてしまって大丈夫なのか。
答えはもちろん、
大丈夫なわけないだろ(真顔)
今もあちらこちらでヒソヒソ声が聞こえるしね?
もう結構やばいと思うよ。
俺がいまさら弁解したところで
当事者が言うことなど信じてもらえないだろう。
かといって、バレるわけにもいかない。
それなら、打つ手はただ一つ。
俺は一人席を立ち上がり、部屋を出る。
向かう先は営業課だ。
それだけで察する人も多いと思うが、
今回はこの人の協力を得ようと思う。
「すみません、蛇塚さんはいらっしゃいますか?」
営業課のドアを開け、
とりあえず一番近くの人に聞く。
すると、その人が質問に答えるよりも先に
蛇塚さんが俺に反応した。
流石だな。
彼女がテンパりながら、
足早に俺の方に向かってくる。
「くくく黒哉様どうなさったの?!またなにかお話が?!」
「ええ、あなたにしか頼めないことがありまして。場所を変えてお話しさせて頂いても?」
コミュニケーション能力が高く、
人脈の広い彼女だからこそ効果があること。
頼み事の内容は至ってシンプルだ。
この人に、ある言葉を言ってもらうだけ。
「勿論ですわ!なんなりと!」
────それで、今回の一件は丸く治まる。