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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第10章 甘い微熱と寂しさと



────「ん……。」


パチリ、目を開ける。

いつの間にか寝ちゃってたみたい。

窓の外を見れば、
星が見えるほどの薄暗い空模様が広がっていた。

寝る前はあんなに明るかったのに、
かなり時間が経ったのかな……って


……ん?


「ちょ、ちょっと待って、いま何時?!」


ガバッと上体を起こして置き時計の方を見ると、
短い針がちょうど8の数字を指していた。


その事実にサーッと顔が青くなる。


え、嘘でしょ、これやばくない?

だって仕事終わるの18時だもん。
もし白馬くんが来てたとしても
確実に寝過ごしちゃってるやつだよね??

まだ来てない可能性が無いわけじゃない。
けど、仕事の早い彼のことだ。
普通に定時で終わってるはず。


……だめだ、考えれば考えるほど
寝過ごしたパターンが濃厚になっていく……!


頭を抱えて「うぁぁあ」と
ひたすら自責の念に駆られていると、










────ピンポーン









軽快なチャイム音が部屋中に鳴り響いた。



────もしかして。



わずかな、わずかな期待がこみ上げてくる。

気だるい身体でベッドから起き上がり、
玄関の方へ向かった、

そのとき。

まさかの言葉が耳に飛び込んできた。








「宅配でーす。」








────はい、期待が灰になった(遠い目)

それでも身体を起こしてしまったので、
せっかくだから出ることにする。

にしても配達なんて頼んでたっけ。
配達と見せかけて宗教の勧誘とかだったらどうしよう。


「はーい、お疲れ様です……。」


ネガティブな思考が堂々巡りする中、
様子を伺うように恐る恐る玄関を開けると、


そこには。












「りんごとゼリーお届けに参りました〜
……なんつって。遅くなってごめんね先輩?」












今一番会いたくてたまらない人が
優しい笑顔で立っていた。


自分でも笑っちゃうほど嬉しくて、気が緩んじゃう。

そのまま倒れ込むようにして彼にぎゅっと抱きつくと、
彼はキョトンとしながらも私の頭を撫でてくれた。


「んー?どしたの先輩。」
「よかった……、寝過ごしてなかった……。」


あぁもう、なんでこんなに安心するんだろ。

聞き慣れた声とか体温とか。
全部心地よくてホッとする。

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