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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第10章 甘い微熱と寂しさと
「ん……。」
欲しさに負けて、口を薄く開けてしまう。
ゆっくりと彼の舌が差し込まれて、
甘く口内を蹂躙される。
……熱い。
私の頬を包む手は冷たいのに、
舌はびっくりするほど熱い。
優しくくすぐるように舌を絡めて擦り合う。
熱があるせいかな。
いつもの何倍も溶けそうなほどに甘くて、
脳も舌も痺れそう……。
「ん…ちゅっ……ごめ…くろ、風邪うつっちゃ……」
キスの合間に声を紡ぐと、
彼はクスッと微笑みながら私の後頭部に手を添えた。
「いいよ、むしろちょうだい……?」
そう言いながら、また深く私の唇を塞ぐ。
ダメなのに。
そんなこと言われたら止まれない。
伝染るのが心配で控えめに絡めていた舌を、
私から大胆に絡ませた。
あぁ、気持ちいい。
薄暗い部屋に、キスの卑猥な水音が響く。
「ん…ちゅっ…くちゅ……はぁ……っ」
私が少し息を荒げると、
彼は我に返ったように、咄嗟に唇を離した。
「っ……、ユイごめんね、少し無理させた……。」
彼が私を心配するように頬を撫でる。
熱に当てられたような、切ない彼の表情。
なんて色っぽいんだろう。
かっこよくて、色っぽくて、優しくて、意地悪で。
未だに「こんな素敵な人が彼氏とか夢なんじゃ」って
思うときがあるけど。
彼の体温を感じてると、現実なんだって実感する。
熱でだるいのに、なんだか幸せだ。
その気持ちを伝えるように彼に抱きつくと、
彼は表情を緩めて私を抱きかかえた。
「ユイ、早く風邪治そ。またいい子に眠れる?」
彼が私に優しく言葉をかけながら、
私をベッドの上に寝かせる。
コクリと頷けば、
「よし」と私の頭を撫でて褒めてくれた。
「ね、くろ、傍にいる……?」
「いるよ、安心して。」
彼のすごく穏やかな表情。
それだけで安心できて、
また悪夢を見ても平気だなって思ってしまう。
ほんと、バカみたいに単純だ。
────もう、全然寂しくない。