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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第1章 名前は白馬。見た目は王子。
私、山下ユイは我ながら平凡だと思う。
身長156cm、学生時代の成績は可もなく不可もなく。
顔は地味だし、これといった取り柄もない。
強いていえば、
真面目人間すぎて後輩に恐れられてることくらい…?
まぁそんな平々凡々なスペックを持つ私なのだが、
約一年前。
その真逆をいくハイスペック男が職場に現れた。
その男が────
「白馬くんっ、ここあとで教えてくれないかな?♡」
「白馬先輩、私もお願いします!♡」
…白馬黒哉(はくばくろや)、通称王子様。
柔らかなミルクティーの髪色に、整った顔立ち。
スラッとしたモデル体型の上、仕事もできてしまうハイスペックさ。
しかも性格が紳士的っていうね。女性にモテないハズがない。
わかってた。わかっちゃいたけど。
「えぇ、もちろん。僕でよければ。」
「キャァァァァァァ!!♡」
…おかげで仕事が全っく進まない。
この男が来てからというもの、仕事そっちのけで媚を売りにくる女性社員が後を断たないのだ。
白馬くんも王子スマイルを引っ込めて「いや知らんがな(真顔)」って断ってくれればいいのに。
横目で見れば、当の本人はキラキラとした笑みで背景にバラを振りまいてる。
「…はぁ、仕方ない。」
デスクから立上がり、問題の現場へと向かう。
一応先輩だからね。
放っておいたら私まで上司に怒られちゃうし。
ここは、心を鬼にして。
「────皆さん、各自の仕事を終えた上でここに立っているのですか?」
ピシャリ。場が凍りつく。
さっきまでの黄色い歓声はどこへやら。
青ざめた顔で私を見てくる。
「…いえ、まだです。」
「それなら今すべき事はこんなことではないはずでしょう。早く持ち場に戻って作業を進めてください。滞れば他の人も迷惑します。」
欠片も笑顔は見せない。厳しい目つきで仕事に促す。
すると彼女たちは、「す、すみませんでした!」と謝りながら慌てて持ち場に戻ってくれた。
よし、これで今日の分はきっと大丈夫。
「白馬くんも自分の仕事に専念してくださいね。」
「はい、了解です。」
うっ、眩しいほどの王子スマイル。
薔薇と謎のキラキラの幻覚が見えるよ。
眩しさに目を擦りながら席に戻ると、パソコンが一通のメールを受信していた。