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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第11章 神社の息子


うささんがそう言って部屋を出る。

私と白馬くんは言われるがままに、
用意された座布団の上に座った。

フリがいるとサプライズの時を思い出す。
なんだかこのメンバー懐かしいね。


「黒哉クン、ちゃんとユイサンに昔のこと話したんデスネ。」


フリが優しく微笑みながら白馬くんに話しかける。
すると、白馬くんは頬杖をつきながら
バツが悪そうに視線を逸らした。


「あんなひでぇ過去、話さなきゃマズいだろ。……すぐには言えなかったけどさ。」
「フフッ、黒哉クン偉いデス。」


フリはニコニコで、白馬くんは少しムスッとしてる。
相変わらずの温度差だ。
見てて微笑ましい。


「あぁ!それから、ユイサンもより女性らしくなったデスネ!なんというか、前より胸が大きく────」
「おいコラざけんな。」


笑顔で爆弾発言しそうになったフリの口を、
白馬くんが片手で勢いよく塞ぐ。
フリを睨む顔がただの不良だ。

まぁ確かに胸は大きくなった気がする。
けど、口にされると普通に恥ずかしいのでやめて欲しい。

そんな微妙な雰囲気の中、
うささんがお茶菓子の乗ったお盆を持って
部屋に入ってきた。


「おう悪ぃな待たせて……って、
なんで白馬、バーサーカーの口塞いでんだ?」


うささんが怪訝な目で彼らを見る。
そうだよね、部屋に戻ったらこの光景って
結構不思議だよね。


「いや、フリがセクハラ発言しそうだったから。」
「うおあうんおえんああいえう(黒哉くんごめんなさいデス)」


口を塞がれながらもモゴモゴ答える。
その内容を聞き取ったのか、
白馬くんがフリの口から手を離してあげた。


「アァ!呼吸が楽ちんデス〜!」
「そーかい、良かったな。たくさん吸っとけ。」


白馬くんの言うとおりに、
スーハーと深呼吸しだすフリ。
なんかコントみたい。


そんな二人を横目に、
うささんが抹茶と羊羹をそれぞれ並べていく。

すごいね、この組み合わせとか中々家で出せないよ。
さすが神社。

一人感心していると、
うささんが突然パーカーのポケットを漁り出した。
ガサガサと紙の音がする。


「うし、じゃあ用件に移るぞ。今日白馬を呼んだのはこの為だ。」


そこから取り出され、テーブルに置かれたもの。

それは。




「……宿泊券?」




五枚の『有名旅館宿泊券』だった。



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