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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇
自然界において、弱肉強食の掟は絶対に逆らえない。
草食動物は肉食動物に食べられる運命。
それは、
いま私の目の前にいる人たちにも当てはまるようで……
「ちょっと!どうして兎が此処にいらっしゃるわけ?!」
「はぁ?!それはこっちのセリフだっつの蛇!」
────例の旅行に来て早々、
兎と蛇のにらみ合い(?)が勃発しました。
ちなみにここは京都。
うさの神社に遊びに行ってから約一ヶ月後の今日は、
みんなの予定が入っていない貴重な日だ。
あ、知っての通り、誘ったお相手は蛇塚さんです。
「私と白馬くんと、そのお友達で行くの」って言ったら、
喜んで応じてくれた。
……きっと友達って言い方がいけなかったかな。
まさか知り合いだったなんて、
ちゃんと名前も教えてあげればよかった。
「つかお前そんなキャラじゃなかっただろ!」
「なによ文句がありまして?!わたくし昔とは違いますのよ?!」
蛇塚さんが顔を赤くしながら、勢いよくうさを叩く。
女の子相手だからかな。
うさは仕返しせずに防戦一方だ。
……その光景を見てね、私思い出したの。
蛇塚さんとお茶したときに、彼女が言っていた言葉。
『わたくしもウサギは大好きですわ。
……でも、兎は嫌いなの。』
『わたくしが馬鹿げた恋をしているというだけですわ。』
え、これもう確実にうさのことだよね?
なんか顔赤いし、様子が変だし。
蛇塚さんの片想いのお相手ってうさだったのか。
一方のうさも、蛇塚さん相手に怯えて……
ないといったら嘘になるけど、なんだか親しげだ。
街のど真ん中でいがみ合う二人を、
私と白馬くんとフリは遠目に眺める。
────あ、そういえば。
「ねぇ白馬くん、蛇塚さんいるけど王子キャラしなくて大丈夫なの?」
白馬くんを見上げながら聞くと、
彼は前を向いたまま、実に平然とした顔で頷いた。
「たぶん平気でしょ。彼女うさに夢中だし。」
「仁クンに恋してマスネ〜。」
……うん、確かに。
蛇塚さん真面目にうさのことしか見えてない感じだ。
まだ一度も白馬くんに黄色い歓声あげてないし。
そしてフリ察するの早い。