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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇


「またまたぁ!実はお互いに好き合ってて、ついヤッちゃったみたいな流れになってんだろ?」

「確かに!じゃなきゃあんなに発育良くなんねぇわ!」


……あくまで冗談めかして言ってたんだと思う。

でも、人を勝手にそんな目で見て、決めつけて、
ゲラゲラと滑稽に笑うコイツらが腹立たしくて。

短気な俺は、すぐ沸点に達してしまった。





思ってもいない言葉をぶち撒けながら。







「……っ鬱陶しい蛇のことなんか好きなわけねぇだろ!!」







正直心苦しかった。

親しくしている人をこんなふうに言うのは、
嘘でも中々心にくるものがある。

でも、この場はこうでもしなきゃ治められねぇ。


仲のいい異性の幼馴染。家がお隣。
年齢に見合わない身体つきの良さ。
常日頃、性的な目で見られてしまう彼女。


この条件を見りゃ一目瞭然だ。


俺がここで蛇を慕ってる発言しちまえば、
確実に変な噂が流れてしまう。
そうなれば、
アイツは余計に苦しい思いをするだろう。


怒鳴りながら言ったのが良かったのか。
それからアイツらは蛇の話題をしなくなった。


あの場は丸く治まって、
もう大丈夫だと思っていたのに────────



















────「まさか、お前に聞かれてるなんてなぁ。」



ホント、笑うわマジ。

彼女を守るはずが、逆に彼女を傷つけた。

自嘲しながら視線を下に落とすと、
静かに聞いていた蛇が声を絞り出すように呟いた。


「じゃあ、わたくしのこと嫌いじゃないの……?」


んだよその質問。
あまりの自信のなさそうな声に、思わず笑いがこぼれる。


「バーカ、嫌いなわけねぇだろ。嫌ってるやつに勉強教えるとかあり得ねぇわ。」


安心させるように彼女の頭を撫でくり回す。
今にも泣き出しそうな彼女の表情。

……ほんとごめんな、ずっと辛い思いさせて。
自己嫌悪が止まんねぇわ。


すると、蛇はそんな俺にいきなり頭を下げた。


「ごめんなさい!あの時あなたを叩いてしまって、本当にごめんなさい……っ!」

「あ?気にすんなよ。元はといえば俺が押し倒したのが悪ぃんだし。」


そりゃ胸触られたら誰だって叩くわ。
しかもあんな言葉を聞いちまった後だし。

そう思っていたところ、
蛇は俺の予想外の言葉を告げた。



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