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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇
────兎谷サイド────
力の抜けた蛇を下ろして、二人で布団の上に座る。
つかなんで布団なんて敷かれてんだ。
大方バーサーカーと白馬が企んだんだろうけど。
蛇は顔を赤くしたまま顔を俯かせている。
全くこっちを見る気配がねぇ。
「蛇、んな緊張すんなよ。」
「しっ、してませんわ!」
いやしてるわ。
思い切りしてるわ。
そんなに構えられっと、少し話しにくいんだがなぁ。
俺は頭をかき、あのときの記憶を遡りながら口を開いた。
「……教室で、お前のこと好きじゃねぇっつったの。言い訳がましいけど、お前を守るために言ったんだよ。」
「え……?」
蛇がゆっくりと顔を上げ、目を見開いてこちらを見る。
「……あの時、俺以外にも数人の男がいたろ?
そこでアイツらによ────────」
────「なぁ兎谷、お前蛇塚と付き合ってんの?」
あの日の教室。
俺はいつもつるんでる奴らにそう聞かれた。
「はぁ?んなわけねぇだろ。」
「えーマジで?あんな可愛い子勿体ねぇ。」
俺から見ても、学校内での蛇は窮屈そのものだった。
可愛くて物静かな高嶺の花。
それでいて、少し抜けてるところがある。
これだけで男子からは随分と一目置かれていたが、
不幸なことに蛇は身体つきが良かった。
アイツに恋をしているやつなんて山程いた。
だが、そのほとんどは身体目的。
男の俺でさえ不愉快に感じるほど、
多くの男が蛇に対してオスを剥き出しにしていた。
「うさって蛇塚と家が隣なんだろ?しかも幼馴染。」
「それ分かる!俺この前、蛇塚さんがお前ん家入ってくの見たわ!」
……見られてた。
別に勉強教えてるだけで
やましいことはしてねぇから別にいいんだが。
……この流れはちょっとまずい。
なぜなら。
「家に招くとか、お決まりのアレやっちゃってるんだろ?」
猿なコイツらは必ずこういう思考をしてくる。
ふざけんなよ。
てめぇらの視線で彼女がどんな思いしてんのか
分かってんのか。
はらわたが煮えくり返りそうになるのを抑えながら、
俺は静かに答えた。
「しねぇよバカ。常識ってもんがあんだろ。」
自分でもかなり大人な対応をしたと思う。
それなのに、コイツらは加減を知らずに踏み込んできた。