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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇




「えっ……?」



間抜けな声。
信じられないといったような表情で、
蛇がじっと俺を見つめる。



「だから、好きだっつったんだよ。お前がこれまで恋愛できなかった分、責任取らせろ。」

「……!」



言葉の意味が通じたのか、
みるみる顔が赤くなっていく彼女。

たぶん俺も耳が赤い。
空気がこっ恥ずかしすぎて落ち着かねぇ。

すると、蛇はまた俺に強く抱きつき、
俺の方を見て、目を潤ませながらハッキリと答えた。



「当たり前よ……。責任しっかり取ってくださらないと怒りますわ……!」



強気な言い方。コイツらしい。

俺はクスッと微笑んで、
また彼女に小さく口づけを落とした。




「華、好きだ。」

「〜〜っ、わたくしの方が大好きよ……っ」




なんでそんなところで張り合うんだか。

可笑しくてクツクツ笑うと、
今度は蛇から俺にキスしてきた。

……色っぽい、のぼせた表情。




「仁……。」

「────っ!」




もう、理性が切れる寸前だった。

襲うなんてことはしたくねぇのに。
俺は衝動的に彼女の唇を荒く塞ぎ、
閉じられた唇を舌で割いた。

ここで抵抗してくれりゃ良かったんだが。

あろうことか、
蛇は大人しく受け入れて舌を絡めてきた。


「ん……っ、ちゅ……はぁっ……」


彼女が甘い声を出す。

お互いの熱い舌を絡め合い、
彼女の口内を獣のように貪る。

さっきはしょっぱかったのに、
今はドロドロに甘くてしょうがねぇ。


「……華、もっと舌だせ。」
「ん……」


俺の命令に素直に従い、彼女が舌をそっと差し出す。
それを吸うようにまた唇を塞いで、
深く濃厚に彼女の舌を愛撫していく。


「んぅ……はっ……、仁……」


甘くて切ない彼女の声。

そっと唇を離すと、
どちらのものとも分からない銀色の糸が
お互いの唇を繋いだ。


「わり……、俺いま確実にお前が苦手な目してる……。」


脱力するように額同士をくっつける。

彼女はこんな俺なんか望んでねぇはずなのに。
男の本能がしゃしゃり出てきて収まんねぇ。

すると蛇はフフッと小さく笑って俺に告げた。



「仁だから嫌じゃありませんわ。むしろ嬉しい。」






────……あーあ。




もう止めらんねぇわ……。






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