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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第2章 お泊り会
…あれ?そういえば。
「白馬くんもう着替えてるみたいけど、何処か出かけるの?」
ベージュのカーディガンに黒のインナーとジーンズ。
明らかに昨日の服装と違う。
すると、彼はサラダをいじっていたフォークをピタリと止め、少し考える素振りを見せた。
「…強いて言うなら、買い物と知り合いに頼み事…かな?」
「そ、そうなんだー。」
こ、これは…
昨日と同じ、絶対なにか企んでる顔だ────!
私をお泊まりさせるように仕向けた、あの時と同じ笑み。
普段は天使な顔のくせに、こういう時だけは意地の悪い悪魔に見えてくる。
…はて、昨日のことといえば。
「ねぇねぇ、今更なんだけど、どうして私にお泊まりして欲しかったの?」
そう、未だにこれが謎だ。これを知らずして「楽しかったね」で終わらせるわけにはいかない。
今回のお泊まりを思い返しても、普通にお風呂に入って、寝て、朝ご飯を食べて…と、おかしなところなど一つもなかった。
だからこそ、更に謎が深まり、目的が知りたくなる。
真剣に問い詰める私とは正反対に、彼はあっけらかんとした表情でサラッと答えた。
「寂しかったんで。」
「はい??」
まさかの回答に間抜けな声が漏れる。
「だから、寂しかったんスよ。こんな広い家にたった一人とか無理もないでしょ?」
伏し目がちなその表情はどこか寂しそうだ。
まぁ確かに、だだっ広い空間に一人って結構寂しいのかも。
…に、したって。
「…本当にそれだけ?」
「それだけです。」
嘘でしょ…。
もっと深い理由があると思っていただけに拍子抜けだ。
全身が脱力していく。
「…あのね、最初からそう言ってくれれば普通にお泊まりするよ。」
呆れながら話すその言葉に、白馬くんが見透かすようにスッと目を細めた。
「嘘。そう言ったところで先輩は来ませんよ。彼氏がいながら、その人を裏切るような行為が出来る人じゃありませんもん。
…たとえそれが、暴力癖のある彼氏だったとしてもね。」
────ドクンと心臓が跳ねる。
やっぱり、白馬くんは既に気づいているんだ。
私と彼がどのような関係性で、どんなことをされているのかを。
私を見る白馬くんの眼差しが鋭い。