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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第1章 名前は白馬。見た目は王子。
「うわ、めっちゃメッセきてんじゃん。『平田くん』…って誰っスか?」
その質問にドキリとする。
「…彼氏だよ、一応ね。」
そう、彼氏。それは本当のこと。
でもなんかアレだな。こう言うと、「先輩に彼氏とかマジッすかwwウケるwww」って白馬くんに馬鹿にされそうだ。
そう思って身構えていたのだけど。
「?、白馬くん?」
一向にリアクションが返ってこない。
ぱっと視線を彼に移すと、見たことのないほど冷めた表情をした白馬くんがいた。
ゾクリと背筋が凍る。こんな彼見たことない。
「え?ど、どうしたの?」
「…あぁいえ、先輩彼氏なんていたんスね。」
低く、感情をまるで感じない声音。なんだか空気が重い。
心なしか、さっきまで騒がしかった周りの声が遠く聞こえるし。
目を逸らすこともできず
お互いにじっと顔を見合わせていると
パッと白馬くんの表情が明るく戻った。
「まぁ先輩も女の子ですもんね!つか一応ってなんすかそれ〜?あっ、もしかしてセフレみたいな関係とか?」
相変わらず言ってる内容のデリカシーが無さすぎるが、いつも通りの彼に戻ってホッとする。
…目は全く笑ってないけど。
「セフレなわけないでしょ。…最近ちょっとマンネリしてるだけ。」
そう、マンネリ。間違ったことは言ってない。
…ちょっと関係が訳ありなだけだ。
白馬くんをこっちの事情に巻き込ませたくなくて、つい視線をそらしながら答えてしまう。
目を合わせると、なんだか見透かされてしまいそうだったから。
────それなのに。
「…ふーん?ちょっとマンネリ気味な彼氏からのLIMEでそこまで青ざめるんだ?おかしいなぁ、先輩ってそんなにガラスのハートでしたっけ?」
…この男はお構い無しに踏み込んでくる。
「ねぇ先輩、ちょっと腕見して?」
「あっ、ちょっと待っ…!」
私の制止虚しく、袖をまくられてしまう。
そこにあるのは、無数の擦り傷と打撲痕。