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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第5章 サプライズ
…というか。
「あの、白馬くん。私に色々聞いてこないの…?」
そのことがすごく不思議だ。
だっていきなり関わるなってお願いしちゃって。
それが解けたと思ったら急に突撃してくるとか、
一見ただの情緒不安定だからね?
実際ちょっと心苦しいもん。
恐る恐る聞くと、白馬くんは目をぱちくりさせて
当たり前のように答えた。
「別に。先輩がいつも通りでいてくれるなら、俺はなんでもいいです。」
…面食らう。
だって、普段の彼なら容赦なく質問責めしてきそうなものなのに。
なんだか今日は大人しいというか、優しい…?
白馬くんを見て呆然としていると、
彼がニヤリと口角を上げ、顔を近づけてきた。
「あぁ、もしかして俺に質問責めされたかった?それなら遠慮なく聞きますけど。ね、先輩?」
「っ!」
これだよ。いつもの彼はこうだよやっぱ。
あと急にその意地悪な顔しないで欲しい。
顔が熱くてしょうがない。
「い、いいの、まだ聞かないで!あとで自分から説明するからっ。」
火照った顔を誤魔化すように、両手を左右に振る。
そう。このことを説明するとなると、
先に彼に告白してしまう必要があるのだ。
白馬くんに最初聞かれた今日の用件。
遊びに来た、というのともう一つ。
彼に想いを伝えること。
それが今日、最大のミッション。
…きっと、この胸の高鳴りもすぐにサヨナラだ。
心の中でそう呟くと、
突然スマホから軽快な着信音が鳴り響いた。
誰かと思い確認すれば、そこには『フリ』の文字が。
「え、どうしたんだろ。」
「どーせ迷子だろ。」
白馬くんが画面を覗き込みながら、
興味なさ気に即答する。
いやでもまさか。
一応フリも大の大人で警察官だし、そんな迷子なんて。
「もしもし、フリ……」
『迷子になったデス助けてぇぇぇぇ!!』
……すごい。
友達ってすごい。
あまりの大声にスマホから声が漏れてたのだろう。
白馬くんが「ほらな」みたいな呆れた表情してる。
行動パターンが読めちゃうとか、
この二人かなり前から友達なんだろうなぁ。
なんだか微笑ましいや。
「わかった、落ち着いて。フリの周りに何があるか教えてくれる?」
『ふぇえっ、なんかマネキンがたくさんあるデス…。』
うん、なんてアバウトな説明。
服屋ってことしか分からないよそれ。