この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第5章 サプライズ
もう少し具体的に聞こうとしたとき、
不意に白馬くんが「代わって」と私の肩を叩いてきた。
なにかやり方があるのかな。
とりあえず言われるがままに代わってみる。
「あーフリ?今手元にチョコあっからこっち来い。制限時間は五分だ。よーいどん。」
────プツッ
「…えっなにそれ、そんなので来るの?!」
まさかのやり方に目を丸くしていると、
白馬くんが急かすように私の背中を押してきた。
「ほらほら、なんでもいいからチョコもカゴに入れましょ。開封して待っとけば匂いで来ますから。」
えぇ…そういうものなんだ……。
メモに書かれた必要な材料をすべてカゴに入れ、
そこに小さいチョコの小包を追加する。
ちなみにカゴは白馬くんが持ってくれた。
最初は断ったんだけど、「男ですけど」って
謎の圧力でバッサリ切られてしまって。
…もっと頼れって言いたいのかな。
お会計を済ませ、チョコを開封してフリを待つ。
すると、白馬くんが聞こえるか聞こえないかくらいの大きさで、ポツリと呟いた。
「……先輩って、アイツのことフリって呼ぶんすね。」
感情を感じない声音。
「え?うん。フリって呼んでって言われたから。」
だって「呼んで」って言われたらそう呼んじゃうよね。
すると、白馬くんは前を向いたまま、
「ふーん」と興味なさそうに返してくる。
…おっと?
これはもしや。
「…ねぇ白馬くん、もしかしてヤキモチ妬いて…」
「ません。」
言葉を上から被せるように即答される。
いや顔見たらわかるよ。
ヤキモチ妬いて軽く拗ねてるって。
「ヤキモ…」
「妬いてません。」
ほら、すごい必死。
本当に妬いてないなら茶化したりするもん。
…なんていうか、弟が姉の友達に嫉妬してるみたい。
思わずフフッと笑ってしまうと、
白馬くんが怪訝な顔で私を見てきた。
「なんすか。」
「ううん、なんか可愛いなって。」
つい正直に答えてしまうと、
白馬くんがムッとした表情で私の両頬をつねってくる。
痛くないあたり優しい。
「可愛いは嫌ですカッコいいにしてください。」
「ごめんごめん、白馬くんカッコいいよ。ホントに。」
笑いながら言っちゃったけど、ほとんど本心だ。
その言葉を聞くなり、白馬くんは満足したようにパッと手を離してくれた。
単純だ。やっぱり可愛い。