この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第5章 サプライズ
「うん上手。じゃあその形のまま人参に手を置いて、包丁の刃をそっと人参に添えて。」
言われた通りに優しく包丁を添えるフリ。
やっぱり。
やり方を知らないだけで感覚は持ってるんだ。
きっと教えたらすごく上手になるよ。
「オッケー。じゃああとは、刃を押し付けながら腕ごと引く感じで切ってみて。」
「はいデス!ソイヤァ!!」
ズオッ!!
────ゴトン!ゴロゴロゴロ…
その瞬間、思い切り腕を後ろに引きすぎたのか、
切られた人参が無残にも床に叩きつけられた。
「ひょわぁぁああ人参サァァァァン!!」
悲鳴をあげるフリ。
…だめだ、やっぱり切らせるのは諦めよう。
彼にはもっと安全なのがいい。
私は落ちた人参さんを拾いながら、そう悟った。
────「おぉ!これなら出来るデス!」
そう言いながらフリがしてるのは、
ハンバーグのタネを捏ねる作業。
これならどんなに不器用な人でも安全にできるよね。
もちろん切る作業は全部私。
自炊はやってるから、一応切るのは慣れてるんだ。
「ねぇフリ、白馬くんとはいつからの知り合いなの?」
ふと気になった。
こんなふうに、誰かから白馬くんのことを聞ける機会ってまずないから、ちょっと色々聞いてみたい。
「確か高校からデスヨ〜。当時黒哉クンものすごいグレてたデス。」
「え、そうなの?!」
思わず包丁の手が止まる。
ニコニコ捏ねながら「ハイ!」と明るく答えるフリ。
ぐ、グレてた…。全く想像もつかない…。
「ピアスばっしばしに開けて、軽く学校を牛耳る勢いデシタネ〜。僕も子分みたいな感じでつるんでマシタ。今でも当時の不良仲間と連絡取ってマスヨ!」
おぉう…まさかのかなり強い不良グループ…。
なるほど。
だから白馬くんやけに喧嘩慣れしてて、
二人の関係も犬とブリーダーって感じなんだ。
ちょっと納得。
「すごいね。なんか今とは大違いだ。」
「あはは〜、意外とそうでもないデスヨ。黒哉クンはまだグレてる途中デス。」
「え?」
どういうことなんだろう。
私がキョトンとした顔を向けると、
フリは作業を止め、少し困った笑顔で私を見た。
「…あとは黒哉クンから聞いてクダサイ。きっとあなたになら、話してくれると思いますカラ。」
…白馬くんにはまだ、なにか秘密があるらしい。