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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第5章 サプライズ
────「ただいまデース!」
「えっと、ただいま?お邪魔します?」
「はいはいどーぞ。お帰り。」
三人で白馬くんのマンションに帰宅。
なんか最近ここにお邪魔しすぎて、
第二の家っぽく感じてきたよ。
私達が突撃訪問したのがお昼頃だったこともあって、
もう時刻は夕方。
空が茜色に染まりかけていた。
「それじゃあ夕飯作るノデ!黒哉クンはリビングで寝ててくだサーイ!」
「は、もう作んの?」
白馬くんの戸惑いなどどこ吹く風。
フリは白馬くんの背中を押して、
無理やりリビングに押し入れていく。
なんて強引なお祝いなんだ。
「いいデスカ!ぜーったい覗いちゃ駄目デスヨ!もれなく鶴になって黒哉クン襲いますカラネ!じゃ!」
そう言いながら、フリがバタンと扉を閉める。
襲うんだね。
鶴になって儚く飛び立つんじゃなくて襲うんだ。
なんて理不尽。
「よし!では作るデスヨ!ユイサン、キッチンへ向かいまショウ!」
「うん、そうだね。」
二人で足取り軽くキッチンへ向かう。
毎回来て思う。ホント部屋が広い。
そして生活感がまるで無い。
料理してるはずなのに、
キッチンも未使用みたいに綺麗だし。
袋から食材を取り出し、シンクに並べる。
フリってどのくらいこの家に遊びに来てるんだろう。
迷わずまな板と包丁取り出したよ。
とりあえず野菜を洗って…。
彼には人参でも切ってもらおうかな。
「フリ、人参切ってもらえる?サイコロ状に。」
「はいデス!任せてくだサイ!」
彼の料理スキルは分からないけど、
きっと切るくらいならできそ……
ズパン!!
「え。」
ズパン!!ズパン!!ズパン!!
「ちょ、待ってストップ!振り下ろすのは流石に危ない!そして人参も可哀想!」
まさかの切り方に急いで手を止めさせる。
フリはピタリと手を止め、涙目で私の方をそっと向いた。
「に、人参さんが可哀想なのは嫌デス…。」
あ、そこね。そこが効いたのね。
この人も白馬くん並みに子供っぽいな。
よし、それなら逆にやりやすいかも。
「いい?まず左手を…じゃない。フリは利き手が左だから、右手を猫の手にするの。はい、ニャー。」
「ニャー。」
私が手を丸めてお手本を見せると、
フリも上手に真似てきた。