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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第6章 会社の同僚「蛇塚さん」
この人にだけは絶対バレちゃいけない。
社内でも有名なほどガチのファンだもん。
「蛇塚さんはまた白馬くん見に来たの?」
「ええ、それはもちろん!ですけど、今回は別件でこちらに伺いましたの。」
別件?
…なんだろう。
彼女が白馬くんの鑑賞以外でここに来たこと一度もないのに。
蛇塚さんはポカンとしている私の手をとり、
可愛く首をかしげてお願いしてきた。
「この場では話せない内緒のお話ですわ。少し一緒に来てくださる?」
…私の本能が告げる。
これはヤバイぞ、と。
────「それで、お話とは…?」
しんと静まり返った、誰もいない会議室。
結局彼女についてきてしまった。
だってあそこで断ったら逆におかしいもん。
嫌な予感がするってだけで気のせいかもしれないし。
「…いえ、ね。少し聞きづらいのですが…。」
先程までの穏やかな雰囲気から一変。
蛇塚さんが深刻そうに顔を俯かせたまま、
私の手をギュッと握る。
…そして、嫌な予感は的中した。
「ユイさん、あなた黒哉様とお付き合いなさってるの?」
────はい、バレとる。(遠い目)
あー待って意識が遠のく。
私が女性社員から一斉非難を浴びる未来が視えたよ。
辛い。
いやいやそれより、どうしよう。
この場はどう治めればいい…?!
蛇塚さんめちゃくちゃ行動派だから正直に言うのは絶対やばいし、
かといって私ポーカーフェイスとか苦手だし…!
冷や汗をかきながら返答に困っていると、
蛇塚さんが握っている私の手にぐっと力を込めてきた。
そして、光のない目で告げられる。
「正直に、お答えくださいな?」
やけに「正直」を強調された。
背筋がピシャリと凍る。だめだこれ、逃げられない。
私は心の中で楽しい日常とサヨナラしながら、
足元に視線を落とし、ゆっくりと口を開いた。
「お、お付き合い…して……ます……。」
あぁ、言ってしまった。
ごめん白馬くん、あなたにも何かしら飛び火しちゃうと思うけど耐えてください。
蛇塚さんの反応が怖くて前を向けないでいると、
強く握られていた手がそっと離された。
「……そう…。」
力のない声と共にダランとぶら下がる彼女の手。