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堕ちる人妻
第1章 堕ちる人妻
「おらっ……このっメスが!」


 それから数十秒ほど攻め立てられて、肉棒を深く突き上げたところで獣は動きを緩めました。抓まれた乳首も解放されましたが、しかしすぐに獣の口がむしゃぶりついてきます。


 私は獣の首に腕を回して体にしがみつきました。久しぶりに味わう快楽が強烈すぎて、相手に身を任せていられるほどじっとしていられなくなったのです。


 獣が突き上げてくるたびに、それまで持っていた『良識』が安っぽいものであったということを思い知らされます。荒いキスをされ、胸を揉まれるたびに、綺麗事を言っていた自分がどうでもよくなっていくのです。


 ふと、目頭が熱くなるのを覚えました。堪えきれずに涙が流れ出てきます。


「旦那の顔でも思い出したか?」


 獣が興奮しながら言いました。たぶん、私が背徳心に包まれたのだと勘違いしたのでしょう。しかし私は背徳心どころか、アナタの顔を思い出して涙を流したわけではありませんでした。すでに自責の念はこの獣とホテルに入る前から捨てているのですから。


 この涙が流れる理由は、私にも分かりませんでした。


 ただ、息を荒げて欲望のままに腰を振る獣を見ていると、涙が零れてきたのでした。もしかしたら心の奥底に残っていた、女としての私が流した悔し涙なのかもしれません。


 しかし、このセックスは人として有るための理性や倫理が快楽に呑まれてしまった、道徳無き交尾。今更何を後悔することがあるのでしょう。私は肉欲を満たすために獣と出会ったということ。それが全てなのです。


 獣は再び正常位に戻って、私の脚をM字に開脚させてから腰を振りました。じゅぶじゅぶと鈍い音と共に、お互いの性器から噴き出る卑汁が波打ち際の潮を思わせる飛沫となって散るのです。


「今頃旦那がどんな顔して仕事してんのか想像してみろよ」


 勝手な思い込みから連想したのか、獣は下卑な笑みを浮かべて言いました。快楽を与えると同時に背徳心で私を困らせたいみたいですが、なんとも自分勝手な男です。でもせっかくなのでそのままにしてあげます。興奮した獣が腰を早く振れば振るほど、深く突いてくれるほど、その分私も気持ちがいい……。 
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