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呟き…
第7章 どこまでが浮気…4
トレーラーは整備用の道具を積んだトレーラーとキッチントレーラーだけがサーキット内に来てる。
キッチントレーラーの前に置かれたテーブルには様々な料理が並んでる。
サンドイッチに唐揚げ、巻き寿司、おにぎり…。
「なんで…、ひつまぶし…?」
刻まれた鰻が炊飯器の隣に置いてある。
「ああ、それは百合ちゃんの好物だから…。」
歩美さんがクスクスと笑う。
「圭ちゃんってさ、レースとかに彼女を呼ぶ時は必ずその人の好物を用意するの。彼女が5人集合する時は5人分をきっちり用意するのが圭ちゃん流。」
至れり尽くせり男は凄いもんだと感心する。
そこまでされたら確かに別れにくいものかもしれないと思わされてまう。
「私も一緒に食べていい?」
歩美さんとキッチントレーラー近くにあったテーブルに座ると少しハスキーな女の人の声が私の背後から聞こえて来る。
「百合ちゃん、圭ちゃんは?」
「圭司君との約束は午前中だけの約束だったから捨てて来た。」
歩美さんと百合さんがそんな会話をする。
捨てて来た?
訳がわからない。
それよりも…。
はじめましての一言が出て来ない。
知らん人が私の隣の席に座ったのに…。
とても綺麗な相馬さんの恋人なのに…。
この歳になって普通に挨拶も出来ずに俯くだけのみっともない子になってまう。
「はじめまして、圭司君から聞いたけど、来夢さんだよね?今田さんと結婚するって聞いて、おめでとうございます。」
俯いた私の前に握手を求める為の綺麗な手が差し出される。
「あり…がと…ござい…。」
百合さんの手を握り、しどろもどろに答える。
「今田さんに聞いてたイメージと全然違うしー。」
怒ったように百合さんが叫ぶ。