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呟き…
第7章 どこまでが浮気…4



車にムキになる相馬さんは退屈なだけの百合さんに『帰ってええよ。』と言うてるらしい。


「相馬さん…、呼び出しといて酷い…。」


百合さんが可哀想だと思う。

でも百合さんは


「大丈夫、今日の呼び出しはモデルの会社にレースクィーンの仕事として来て欲しいって圭司君の会社から依頼を受けた形になってるの。つまり今日の分の私の移動の経費とか車とかは全部会社の方から手配してくれてる事になるわけ。」


と言う。


「腹は立たないですか?」

「うん、どうせ今日の夕方には東京の方での仕事があるから新幹線に乗る事になってるし、どちらにしても私の方が圭司君を見捨てて帰るって感じになっちゃう事に変わりがない以上、仕事って形で呼んでくれた方が私としては気は楽よ。」

「見捨てるって…。」

「ああ、ごめん…。それって圭司君の口癖みたいなもんなの。帰るって言うと直ぐに『僕を捨てる。』とか言うもんやから…。」


肩を竦めて百合さんが苦笑いする。

ああ、なるほど…。

夕べ、立ち去ろうとした私にも相馬さんは冷たいとかなんとか言うてたな。

百合さんとか他の彼女には毎回毎回、捨てられると相馬さん流の嫌味を言うのだと納得する。


「百合さんは、相馬さんと付き合ってるんですよね?」


初対面としてはこんな質問を失礼だとは思うけど、私の好奇心が疼いてまう。


「他の彼女が居るのにって意味?」


余裕のある笑みを百合さんが浮かべる。


「ごめんなさい…。」

「構わないよ。圭司君って、ああいう人だから…。」


ああいう人という意味がわからない。


「相馬さんの事、私はよく知らないから…。」


百合さんから見た相馬さんを知りたいと思う。


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