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呟き…
第7章 どこまでが浮気…4
「悠真が相馬さんを許した!?」
私が知る限り、悠真を怒らせて悠真が許した人間は家族という立場の人だけだ。
「圭司君もそんな事を言ってた。今田さんはまだ圭司君に怒ってるかもしれないって…。」
百合さんの声が更に低くなる。
「百合っ!駅まで送ってやる。」
私と百合さんとは離れた場所から相馬さんが百合さんだけを呼ぶ。
「そろそろ新幹線の時間だから…。」
私にそう言って百合さんは相馬さんとサーキットから出て行った。
サーキットではまだ走行会が続いてる。
難しい事はわからないが相馬さんのチームのタイムは他のチームと比べ物にならない。
逆に周回遅れを抜くのに手間取ったりする分、本来のタイムが出せてない。
歩美さんが興奮した顔をする。
「今回の走行会で最速のラップタイムが出たんや。」
「でも、アマチュアにセミプロが混ざってる感が半端ないね。」
「確かにうちのチームはセミプロになるけどハンデが付いてるよ。」
「ハンデがあってもダントツやん。」
「車の性能もやけどタイヤとか完全にプロ仕様だからね。」
子猫の中で虎が走り回ってる気がする。
相馬さんって狡い…。
圧倒的な力の差を見せ付けて子猫を黙らせてまう。
「なら、プロのチームとやればいいのに…。」
歩美さんを責めるつもりはないが嫌味な本音が口から溢れ出す。
「圭ちゃんもそこは悩んでるよ。でも圭ちゃんのお金だけじゃ、これが限界なの。」
相馬さんのチームは個人のチーム…。
企業が持つチームとは予算が違う。
「企業チームになるとうちとかお父さん程度のメカニックじゃ雇うて貰われへん。」
「ごめんなさい…、そんなつもりで言うたんじゃないから…。」
「来夢さんは気い使い過ぎやで?」
何一つ、知りもしないで責めた私を簡単に歩美さんは許して笑う。