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第2章 　精子狩り

　石油エネルギーがＣＯ２を排出し、その長期わたる蓄積が温暖化、さらには気象異常をもたらす。
　同じようにプラスチックをはじめとした石油製品の撒き散らす『環境ホルモン』の影響が妊娠中の胎児に影響し、男性機能の形成を破壊していたのだ。

　目に見えない形で、長期にわたって蓄積され、ある一定のレベルを超えると牙をむく。こうした危険や脅威に、いつも社会の対応は遅れる。
　レジ袋１枚、ストロー１本を減らすことすらなかなか出来ないのが社会の現実である。

　精液１ミリリットルあたり平均１．５億ほどいた精子が５０年で６千万にまで減少。
　汚染が激しい地域を調査したところ、男子の２倍の数の女子が生まれていた。
　精液の減少。ペニスの短小化。勃起不全。しかもそれらの男性機能の破壊、劣化、喪失がすべてが遺伝するというのだ。

　こうした研究は今までも発表されていたが『精子狩り』騒動と重なったので世間の注目を浴びた。
　
　「健全な精子を求めて、女たちの闘いが始まってたのです」

　いつの間にか沢田梨花はニュースや時事問題のコメンテーターとして引っ張りだこ。
　大谷祥太郎の体験はドラマ化されようとしていた。
　まさに、梨花はヒロインとして、祥太郎はヒーローとして、時代の寵児となったのであった。