パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第3章 　『一億総性生活活性化』

　こんな選考基準を指示した矢部首相の狙いは単純明瞭。

　草食系に性生活活性化を諮問するなど、「木に縁りて魚を求む」ようなもの。
　蛇の道は蛇に、酒は酒屋に、茶は茶屋に、色の道は好き者に聞け、というわけだ。
　さらに、問題の性格上、若いの男女を揃えた方が会議が盛り上がるし、ひいてはいい知恵も出る。
　はたまた肉食系の男は美人の前では意外な力量を発揮するし、それに優秀な女性官僚さえいれば実務に問題はない。
　その上、生意気な女性官僚のコントロールには肉食系男子が役に立つのだ。
　まことに官僚操作に長けた矢部首相の見事な人選、深謀遠慮に富んだ官僚掌握術である。
　
　人選を任された首相秘書官・水谷陽は慎重にも慎重を期すために、最終選考に残った各省の候補者を徹底調査した。
　
徹底調査と云ってもじつに簡単。

２１世紀も半ばを過ぎると犯罪防止を名目に全国至る所に防犯カメラが張り巡らされ、ドライブレコーダーの搭載義務化とあいまって、世の中は完全に監視社会。
　すべての録画データーは中央情報室に設置された監視センターに送られ、ＩＴロボットによって２４時間集中管理されていたのである。
　
　そんなわけで、候補者のマイナンバーを端末に入力すれば、監視センターのデーターがたちどころに手に入る仕組み。