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近未来SFコメディ「日本チン没」
第3章 『一億総性生活活性化』
「食べなければ人は死に、交わらなければ国は滅びる」
会議の冒頭、出席した10名の若手官僚を前に、矢部首相は高名な社会学者の言葉を引用した。
矢部首相は必死だった。それまで高かった支持率が「精子狩り」事件をきっかけに急速に低下したのだ。
しかし、タダではコケない矢部首相は言葉巧みに、この事件を逆手にとって、支持率の回復をはかる作戦に打って出たのだ。
「まさに国難であります。国家の総力をあげて『一億総性生活活性化』を実現すべく、ここにお集まり頂きました。『一億総性生活活性化』なくして、日本沈没の危機を救う道はありません」
参加者は一瞬わが耳を疑った。
大袈裟な言葉が得意な矢部首相であったが、『一億総性生活活性化』とは・・・。
矢部首相の口をついた聞き慣れない言葉が、国の行政機関の仕事に相応しくないと思えたからであった。
首相の演説が終わると、会議のレジメを見ながら環境省の五代鉄平は出席者を代表して質問した。
「首相、失礼ですが、『一億総性生活活性化』とはいったい・・・?」
「読んで字のごとく。まあ、一億はすこし大袈裟だがね」
会議の冒頭、出席した10名の若手官僚を前に、矢部首相は高名な社会学者の言葉を引用した。
矢部首相は必死だった。それまで高かった支持率が「精子狩り」事件をきっかけに急速に低下したのだ。
しかし、タダではコケない矢部首相は言葉巧みに、この事件を逆手にとって、支持率の回復をはかる作戦に打って出たのだ。
「まさに国難であります。国家の総力をあげて『一億総性生活活性化』を実現すべく、ここにお集まり頂きました。『一億総性生活活性化』なくして、日本沈没の危機を救う道はありません」
参加者は一瞬わが耳を疑った。
大袈裟な言葉が得意な矢部首相であったが、『一億総性生活活性化』とは・・・。
矢部首相の口をついた聞き慣れない言葉が、国の行政機関の仕事に相応しくないと思えたからであった。
首相の演説が終わると、会議のレジメを見ながら環境省の五代鉄平は出席者を代表して質問した。
「首相、失礼ですが、『一億総性生活活性化』とはいったい・・・?」
「読んで字のごとく。まあ、一億はすこし大袈裟だがね」