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第3章 　『一億総性生活活性化』

　そう答えた矢部首相はふたたび立ち上がった。
　
　「優秀なる諸君の英知を結集し、日本沈没の危機に果敢に立ち向かって頂きたい。そのために皆さんは今日、ここに集まったのであります」

　そのとき、甲高い声で首相の発言を遮ったのは財務省の姉川朱里であった。

　「『性』に関わることへの行政の介入は、国民の拒否反応の最も強い分野であります」

　環境省の蒼井瑠衣の発言が続いた。

　「いまや性行為は完全に生殖行為と切り離され、性生活を活性化しても、人口増に結びつくとは思えません」

　「結局は女性を子どもを産む道具としか見ない古い考えは女性からの強い批判を招くことは必定」

　「そうした点をお踏まえの上で、首相は先ほどのような冒頭発言をなさったのでしょうか」

　姉川朱里、蒼井瑠衣に続いて女性参加者から次々に批判が上がった。