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第1章 　罠

　それから、梨花はＴシャツとＧパンと帽子と新しいリュックも買ってくれた。
　サングラスもお揃いにした。
　お金で買い物をする梨花を見て、祥太郎は東京の人は凄いと思った。　
　田舎では現金を使う人は滅多にいなかった。
　もしかすると梨花さんはお金持ちかもしれないと祥太郎は思った。

　梨花の住まいは、秋葉原から電車で３０分の豊洲に聳えるタワーマンションの一室だった。
　玄関を入った祥太郎は目を見張った。
　マンションの窓の外にはテレビでよく見る東京の夜景がどこまでも広がっていた。
　部屋の中には、不動産のコマーシャルとそっくりな調度品が並んでいた。
　祥太郎は自分がテレビの中の登場人物になったような気になった。