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第3章 　『一億総性生活活性化』

　「最近のコンドームの無料配布実績は大幅にダウン。中折れで使うに使えなくなった･･･、失礼。勃起不全のためコンドームの使用不能者が激増しているからであります。
　また、避妊薬ピルの利用頻度も急速に落ちております。今では、避妊薬より妊娠促進薬の開発を求める声が女性たちから上がっているのが現状であります。
　『避妊禁止三原則』など今ごろ持ち出したら、政府の現状認識の甘さを露呈することになると危惧いたします」

　「うーん、なるほど」
　
　「機を見るに敏」矢部首相はあっさりと前言を撤回。

　「君たち女性陣の意見はよく分かった。この件は、とりあえず検討課題としておこう。しかし、これまで、歴代保守党政権が講じてきた少子化対策はすべて徒労に終わった。徒労どころか、人口減は加速している有様です。
　私はその原因が、人口増の最大の要素であるセックスに触れようとしなかった、いわゆる『性タブー』にあったと考えます。
　この会議に『性タブー』は無用。『一億総性生活活性化』こそが、そのタブーの中心『性生活』に大胆に切り込むものであって欲しいと考えます」

この発言は『性タブー』に挑戦しようとする矢部首相の姿勢を強烈に印象付け、会議場は騒然とした雰囲気に包まれていった。