パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第3章 　『一億総性生活活性化』

　根本的な政策転換にまったく触れず、目先の支持率だけに執着する矢部首相の姿勢に優秀なる法務官僚・岡野詩音は強い不満を感じていた。

　「矢部首相のご発言ではございますが、ピル使用禁止といった規制の復活は与党の規制緩和路線に真っ向から反しますが、よろしいのでしょうか」
　「かまわん。この際、人口の増加のためには規制緩和も、規制強化もどうでもいい」
　「首相がそこまでのご決意をお固めなら、わたくしは婚姻制度の見直しを進言いたします」
　「なに、婚姻制度の見直しか、それも検討課題に入っている」
　「婚姻制度の検討こそ急ぐ必要があります」
　「君の意見は分かるが、物事には順番がある。そもそも、婚姻制度をいじって子どもが生まれますか。まず、女性が妊娠出産しないことには人口は増えない。そのことを頭においてくれたまえ」
　「し、しかし・・・・」
　「岡野君、しかしもヘチマもない。ピル及びコンドームその他すべての避妊グッズの生産・流通・使用の禁止。これを避妊禁止三原則として法の制定の準備を進めなさい」

　ところが、矢部首相の強引過ぎる結論は、厚労省の奥原琴葉の一言で脆くも崩れ去った。

　「失笑千万、笑わせないで下さい。近頃の男性は避妊具など必要もないほどお弱くなりました」

　奥原の皮肉いっぱいの発言に矢部首相は仰け反った。

　「ど、どういうことかもう少し詳しく説明したまえ」