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近未来SFコメディ「日本チン没」
第3章 『一億総性生活活性化』

「矢部首相、『秘すれば花なり秘せずは花なるべからず』という言葉をご存知でしょうか」
学歴に劣る矢部首相は、この手の官僚の発言には苦虫を噛み潰したような表情で憮然として答えるのが常であった。
「はて?」
「能の真髄を教える世阿弥の言葉でございます」
「ノウのゼアミ?」
一瞬、矢部首相はノアの箱舟の逸話でも登場したのかと身構えた。
「総理、能狂言の能であります」首相秘書官・水谷陽があわてて耳打ちした。
「この世阿弥の教えは性教育にも当てはまると考えます。『性』は秘め事。秘めるがゆえに、魅力を感じるのではないでしょうか。そこのところを忘れ、ただただ何でもさらけ出したらいいと考えるのは単細胞の男の考える助平な考え。返って逆効果ですわ」
姉川朱里は発言を終ると艶然と微笑み、会議場を見回した。
「君、失礼だろう」と立ち上がった鶴岡を矢部首相が制した。
「ウーン。それも一理ある。こうなったら、どうかね、文科省の三村君と霧島君、君たち二人で、新しい『性行為奨励、生殖推進』型性教育を姉川君の意見も参考に考案して発表してくれたまえ」
「は、発表と申しますと・・・?」
突然名指しされた文科省の霧島一美が、その美しい顔に戸惑いの表情を浮けべて質問した。
学歴に劣る矢部首相は、この手の官僚の発言には苦虫を噛み潰したような表情で憮然として答えるのが常であった。
「はて?」
「能の真髄を教える世阿弥の言葉でございます」
「ノウのゼアミ?」
一瞬、矢部首相はノアの箱舟の逸話でも登場したのかと身構えた。
「総理、能狂言の能であります」首相秘書官・水谷陽があわてて耳打ちした。
「この世阿弥の教えは性教育にも当てはまると考えます。『性』は秘め事。秘めるがゆえに、魅力を感じるのではないでしょうか。そこのところを忘れ、ただただ何でもさらけ出したらいいと考えるのは単細胞の男の考える助平な考え。返って逆効果ですわ」
姉川朱里は発言を終ると艶然と微笑み、会議場を見回した。
「君、失礼だろう」と立ち上がった鶴岡を矢部首相が制した。
「ウーン。それも一理ある。こうなったら、どうかね、文科省の三村君と霧島君、君たち二人で、新しい『性行為奨励、生殖推進』型性教育を姉川君の意見も参考に考案して発表してくれたまえ」
「は、発表と申しますと・・・?」
突然名指しされた文科省の霧島一美が、その美しい顔に戸惑いの表情を浮けべて質問した。

