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海猫たちの小夜曲
第5章 時間よ、止まれ ~海色のグラスと小麦色の少女④~
「けど……遥はいいの? あたしが先生を好きになっても。」
 少しだけ遥のことが気になったわたしは、改めて聞いてみた。
「今さらそれ聞く? もう、わたしたちはモラルとか常識とかを踏み越えてここにいるの。わたしと望海は共犯者だよ。だから、わたしたちは二人で先生のことを愛するの。それで、二人で先生を共有するの。望海となら、それが出来そうだから。」
 遥は、わたしの問いに、そう言って微笑みかけた。
 
 すでに、わたしと遥は、まともな価値観を持った普通の16歳の女の子ではない。
 
 年相応の男の子と恋に落ち、その男の子と少しだけ背伸びしたセックスをし、その男の子との恋に胸を焦がす普通の16歳の女の子とはまるで違う。

 どうしようもなく爛れた、道ならぬ恋に、わたしと遥は焦がれているのだ。
 その意味で、わたしと遥は、確かに共犯者だった。

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