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海猫たちの小夜曲
第5章 時間よ、止まれ ~海色のグラスと小麦色の少女④~
 今のあたしは、何も身に着けていない。
 Tシャツも下着も、廊下に脱ぎ捨ててきてしまった。
 水着の型に日焼け跡のついた肌も、何もかもを先生と遥の視線のもとに晒していた。
 そして、さっきまで、遥と先生のセックスを見ながら自分の指で慰めていた秘部は、どうしようもないほどに濡れていて、愛液が太ももにまで滴り落ちていた。

「ねえ、望海、こっちにおいでよ。ここに来たってことは、もう覚悟はできてるんでしょ?」
 遥が艶めかしい声であたしを誘う。
 遥の言う覚悟というのは2つの意味があるのだろう。
 
 ここで、先生に抱かれる覚悟。
 先生に言われるまま、先生以外の人に抱かれる覚悟。
 
 あたしは、もう、どちらの覚悟も決めていた。
 そのまま、あたしは先生を見据えて頷く。


「ふふっ、望海はもう、覚悟してるみたいですよ。で……先生はどうします?」
「……やれやれ、遥はまるで、ファウストに出てくる、人を堕落に誘う悪魔みたいだな。僕を、こんなに君に溺れさせておいて、さらには、有坂さんみたいな魅力的な女の子まであてがおうというのか?」

「うふふっ、そうかもしれませんね。先生も、あたしたちと契約してみます? 『時間よ、止まれ。お前は美しい』って。」
 遥は妖しく艶めかしい笑みを浮かべながら、先生にささやいた。
 その不思議な言葉が、悪魔との魂の契約を示す台詞であることを、あたしは後で遥から教えてもらうことになる。

「君は、本気なのか? この僕の、どうしようもない性癖をわかってのことなのか?」
 先生がわたしに向き直って、改めて聞いてきた。
「はい。だから、今は……あたしを抱いてください。あたしを……先生のものにしてください。」
 
 そして、あたしは自分の退路を断つように、先生の前に進み出る。

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