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海猫たちの小夜曲
第5章 時間よ、止まれ ~海色のグラスと小麦色の少女④~
「じゃあ、いったん、望海に先生を譲ってあげるね。あたしに見せて。望海が先生のものにされるところ。」
 遥がわたしを促してくれて、わたしは先生の胸に頬を寄せた。
 先生の体は毎日のダイビングで鍛えられているせいか、40半ばとは思えないほど引き締まっていて、お腹も出ていない。

 そして、あたしは先生の胸に自分の手を這わせる。
 先生は調査を終えて、陸に上がるたび、ウェットスーツのジッパーを下げて胸を外気に晒すのが常だったが、あたしがそれを横目で見ながら、どれほどドキドキしていたことか。
 こうして、頬を寄せて、自分の手で触れていることが夢のようだった。
 そして、あたしが、海の中で低体温症で気を失いかけたとき、わたしを抱きとめてくれたのは、この厚くて締まった胸だった。
 
 ああ、今なら、わかる。
 あたしはずっと、恐らくは先生と知り合って間もないときから、このがっしりした逞しい胸が好きだったのだ。
 あたしは自分に湧き上がる情欲のままに、先生の胸に口づけた。
 そして、そのまま舌を先生の乳首へと這わせていく。
 先生の体がびくりと震え、先生が、あたしの愛撫を悦んでくれているのが分かった。


 やがて、あたしはゆっくりと目を閉じて、先生に唇を近づける。
 先生は、躊躇なくわたしの口に舌を差し入れて、わたしの口内を、ねっとりと舐り上げてくれた。
「んん……チュ……ジュパ……んっ……」
 あたしは必死に舌を絡ませて、先生の舌の愛撫を受けとめる。

 お互いに肌を触れあわせ、求めあうキスというものが、これほど淫らで、幸せなものだとあたしは初めて知った。
 あたしは先生の愛撫を求めて、さらに舌を深く差し入れる。

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