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海猫たちの小夜曲
第3章 終わりなき凌辱 ~海色のグラスと小麦色の少女②~
暦が6月に入り、八潮津の街も梅雨に突入していた。
梅雨の肌寒い日でも水泳部の練習はあったが、あたしが水泳部に顔を出すのは、バイトが休みの月火だけで、それ以外の日は、相も変わらずダイビングショップのバイトに精を出していた。
先生の家から一緒に帰って以来、遥とは学校でも、親しく話をするようになった。
この学校と、この小さな街の狭い人間関係の中だけで、全ての楽しみが完結してしまうクラスの子たちと遥とでは、話が合うわけもなかったが、あたしは逆に、そんな遥にシンパシーを感じるようになっていた。
そして、あたしと遥の間には、常に先生もいた。
あたしたちと先生は、たまに誘い合わせて浅場でのシュノーケリングや、先生の家で映画鑑賞を楽しむようになり、あたしは期せずしてできた遥と先生との時間が、楽しみになっていた。
秀隆は相変わらず、あたしに性処理を求めてきていたが、先生や遥と過ごす時間が秀隆という最低の現実を、少しだけ忘れさせてくれていた。
けれど、6月も半ばを過ぎたある日、あたしに大きな事件が起こった。
その日は日曜日で、あたしは朝の先生の調査にバディとして参加した後、昼間のバイトを休んで、電車で30分かけて隣町のショッピングモールに新しい水着を買いに来ていた。
わたしにしては、珍しく気合の入った買い物だ。
それというのも、遥がシュノーケリング用に新しい水着を買ったぜ、と言い出して、あたしも、水着の新調に便乗することにしたのだった。
今、あたしがダイビング用に持っているのは、色気もそっけもない、陸上の競技ウェアみたいなセパレートの水着だったから、遊び用にもう一着欲しいかな、と前から思っていたのだ。
あたしが水着の新調のことを話すと、遥は「シュノーケリング用の水着なんか、水泳部の競泳水着で十分だよ、なんて言ってたくせに」と笑ったが、「遥が水着を新調するなら、あたしも新調しちゃうからね」と、わたしが返し、最後には「よおし、それならどっちの水着姿がかわいいか、先生を審判にして勝負だ!」などと、しょーもないことを遥が言い出して、あたしが乗ったのだった。