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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第5章 掲示板
 左手首を返して時計を見た。もうあまり時間がない。この場所から掲示板に最後の書き込みをするつもりだったが、ゆっくりはしていられなくなった。
 身支度をしてローションを忘れずにバッグに戻したことをもう一度確認して、水を流し個室を出た。洗面台の前でローションのついたヌルヌルの手を、周囲の女の子達に気付かれないように洗う。ハンカチを出しながらすぐ後ろの鏡へ。広くはないがパウダースペースは確保されている。鏡の中の自分を近くで覗き込む。蒸し暑いのと雨の湿気で化粧も髪型も今一つイケてない。フェイスパウダーで頬とおでこと顎の下だけ、とりあえず誤魔化した。
 トイレを出ると二分前だった。その場でスマホに四つの数字と、その列車の行き先の別名を漢字三文字で書きこむ。
『○○○○、□□□の方へ向かう電車に乗ります』
 最初の四つの数字は発車時刻だ。
 書き込みが終わったことを確認すると、スマホをハンドバッグに入れてファスナーを閉めた。満員の車内でスリには遇いたくない。大きく「4」と書かれた角を左に折れ階段を降りてゆく。降りた先にも列車の発着案内板と時計がある。四番線、次の列車まであと一分。
 降りたところに列車は来ない。この駅は長い編成の列車に対応するためにプラットホームが長く、恵子が乗る予定の次の列車はホームの中ほどまでしか来ないのだ。
すぐに左へUターンする。
「四番線列車到着しております。黄色い線の内側まで…」
騒然としている。駅員の吹く笛が響く。
 目的の列車の先頭部分が見えてきた。階段でホームが狭くなっているところを人にぶつからないように気を配りながら進む。スマホを見ている人。こちらを見ている人。人、人、人。
 この中に、ワタルがいる。シゲルがいる。長官がいる。太一がいる。耀司だっているかもしれない。掲示板に書き込みせずにこの電車を待っていた人だっているかもしれない。だけど、周りの誰もが皆そう見えるし、そうでないようにも見える。
 電車が静止する。シューと音を立ててドアが開く。そこから人が吐き出される。ホームでは、並んでいたところまで電車が来ないことを知った乗客が列を崩してドアの前に殺到する。若い女の子の姿もあった。こんな満員の場所をわざわざ選んだと思われるわよ・・・耀司から教わって覚えたところだった。今そこに自分もいる。
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