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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第5章 掲示板

しかし人が電車から降りて、目の前に空間が出来るとさすがに事情が変わる。男からタイミングよく離れることで、恵子は自力でそのアナルの呪縛から逃れることができた。不意を突かれたのか、男は恵子から距離を取る。
不思議なくらい、その瞬間は誰も恵子の腕や腰を捕まえようとする存在がなかった。
満員電車で、確かに普通に痴漢が多い時間かもしれないが、ここで恵子を待っていたというのはそのワイシャツ独り...。
恵子は、ここに耀司がいないどころか、他の誰もいないんじゃないのか、という気がした。自作自演。そんな言葉が脳裏を横切る。もしもあれだけの掲示板のメンバーが皆ここにいるのなら、今みたいな瞬間に自分の周りに空間がポカンと出来ることは無いはず。今まで、痴漢されてきた時には常に誰かが密着してくるのを感じていた。それとはなにか違う。
一旦降りた客と、この駅から乗り込む乗客でどっと人が押し寄せてくる。その数人と場所を入れ替えるようにして車内での立ち位置を変えた。そうすることでワイシャツから離れた。間に上手く二人挟むことが出来た。運転席と隔てる壁沿いにはスマホを覗き込む男性客、その後ろに背の高い女性客がいる。恵子がいて、そこからワイシャツまでの間に、スーツとカジュアルシャツの男性が二人。その向こうにワイシャツが見えた。
ワイシャツにしたところで、もう十分だろう。これ以上の凌辱はもはや誰にも必要ない。
そして思った。そうだ、ワタルもシゲルも長官も太一も、みんなこのワイシャツの独り芝居に違いない。こんな乱暴な痴漢がもし仮に何も知らない女の子を襲っていたとしたら、誰だって声を上げるか助けを呼ぶかして突き出しているに違いない。捕まりもしないでこの場所にいることの方が奇跡だ、とさえ思った。
それから二駅、とうとうワイシャツは恵子に指一本触れることは出来なかった。いつもの乗換駅で恵子は、そしておそらくはワイシャツも、電車を降りた。
あとをつけられていないか慎重に後ろを伺いながら、急ぎ足でわざと中央通路を横切り、乗り換える七番線のエスカレーターに乗る。
エスカレーターの右側を歩いて上り、急いでホームに出た。
スマホ!急に気になった。バッグから取り出し掲示板を開いてみようと思い、ふと、異変に気付く。ファスナーが半分開いている。
不思議なくらい、その瞬間は誰も恵子の腕や腰を捕まえようとする存在がなかった。
満員電車で、確かに普通に痴漢が多い時間かもしれないが、ここで恵子を待っていたというのはそのワイシャツ独り...。
恵子は、ここに耀司がいないどころか、他の誰もいないんじゃないのか、という気がした。自作自演。そんな言葉が脳裏を横切る。もしもあれだけの掲示板のメンバーが皆ここにいるのなら、今みたいな瞬間に自分の周りに空間がポカンと出来ることは無いはず。今まで、痴漢されてきた時には常に誰かが密着してくるのを感じていた。それとはなにか違う。
一旦降りた客と、この駅から乗り込む乗客でどっと人が押し寄せてくる。その数人と場所を入れ替えるようにして車内での立ち位置を変えた。そうすることでワイシャツから離れた。間に上手く二人挟むことが出来た。運転席と隔てる壁沿いにはスマホを覗き込む男性客、その後ろに背の高い女性客がいる。恵子がいて、そこからワイシャツまでの間に、スーツとカジュアルシャツの男性が二人。その向こうにワイシャツが見えた。
ワイシャツにしたところで、もう十分だろう。これ以上の凌辱はもはや誰にも必要ない。
そして思った。そうだ、ワタルもシゲルも長官も太一も、みんなこのワイシャツの独り芝居に違いない。こんな乱暴な痴漢がもし仮に何も知らない女の子を襲っていたとしたら、誰だって声を上げるか助けを呼ぶかして突き出しているに違いない。捕まりもしないでこの場所にいることの方が奇跡だ、とさえ思った。
それから二駅、とうとうワイシャツは恵子に指一本触れることは出来なかった。いつもの乗換駅で恵子は、そしておそらくはワイシャツも、電車を降りた。
あとをつけられていないか慎重に後ろを伺いながら、急ぎ足でわざと中央通路を横切り、乗り換える七番線のエスカレーターに乗る。
エスカレーターの右側を歩いて上り、急いでホームに出た。
スマホ!急に気になった。バッグから取り出し掲示板を開いてみようと思い、ふと、異変に気付く。ファスナーが半分開いている。

