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碧の島 2
第1章 多くの家族たち
龍平side
・・・・・・・。
酷い・・・な。
あの日以来あの事件の被害者遺族だと知りネットで調べたりもできたはずだけど・・・俺にはそれが出来なかった。
彼女の家族に起きたことを・・・俺はちゃんと見ようとはしなかった。
持っていた紙をギュッと手の中で丸め・・・・歯を食いしばって前に居たマッサンとキク爺を見つめると、俺の前に居た希子さん達が肩を震わせ泣きだしているのが分かった。
すると・・・。
沈黙を破ったのは・・・。
キク爺・・・。
杖をつき、島の住民を見渡すようにし・・・さっきとは違う穏やかな顔で・・・・。
こう言った・・・。
「彼女に・・・桜ちゃんに・・・」
・・・・・・・。
「こんな事が出来ると思うかね?」
自分の親をめった刺しにして・・実の姉の顔も・・・・。
顔って事は・・・。
途中まで生きていたに違いない。
そんな残酷な事が・・・。
キク爺は婦人会のオバちゃん達の顔を覗き込み・・・・。
「あの子が・・この島に来て一生懸命やっている姿を見て・・・何とも思わないか?」