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第17章 英虞湾へ

　東川は自分のこと、今井久人のこと、久人から聞いたことを話した。

「東川さんはわかってらっしゃるでしょうけど、久人が何を考え、どう思っているか、完全に理解しています。まだ子どもだとしても、頭の中は中年の大人、お友だちとそういう関係になったことは喜んでいるはずです。今も独り暮らしを満喫しているでしょう」

「久人君もあなたのことを理解しているでしょうね。失礼な言い方ですが、久子さんは若く美しくなって、男遊びに溺れているのでは？そう思っているようですが」

　ふと東川は窓の景色を眺めた。
　草木が静かに風に揺れている。木々の向こうには英虞湾が望めるはずだ。
　久人から話を聞いたときは、もっと変態チックな、破廉恥な暮らしに合う環境を想像していたが、そのようなものを連想するものは何一つ目に入らない。

　沈黙のあと、久子は意を決したように話し始めた。