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第18章 今井久子のモノローグ

　オーナーはその日の夜に宿泊するホテル名と部屋番号を男に伝え、男は遊びに行きます、と言いました。

　帰り際、私は男の様子を見ようと振り返りました。何故かその男は、まるで死神のように見えました。

　男は約束通り現れました。私は何故か身体の震えが治まらず、ドアを開けないでと頼みましたが、オーナーは笑って男を招き入れました。

　オーナーは男をソファーに座らせ、スコッチを勧めました。男たちは差し障りのない話をして、杯を重ねます。男が酔った様子を見て、オーナーは男の横に移動しました。そして男の耳元でささやき始めました。

　一方、私はいよいよ男の匂いに気分が悪くなり、かといって一人部屋を出るわけにもいかず、ただただ、これから悪いことが始まるに違いない、との思いを強くしておりました。

　オーナーが男の唇にキスをするのが見えました。するとオーナーの身体が感電したように硬直し、震えました。男の身体からは腐乱した匂いと、黒い油のような汗が流れていました。

　酷い臭気が私の身の回りに漂ってきました。そのあまりの臭さに、私は気を失ってしまいました。