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第20章 対決
「先手必勝でいこうぜ」

「あ、待て」
 と東川が言う間もなく、ユージーンはその姿を消した。

 ユージーンは男の身体の中に入ったつもりだった。しかし誰かの肉体をモノにしたという感覚はなかった。
 彼が感じたのは荒涼とした闇に光る海原だった。

 闇だ。

 深い、深い、闇の中だ。

 闇の中で、波が鈍い光を返しながらうごめいていた。

 この闇の中で、どこに光があるんだろう、とユージーンは辺りを見回した。するとすぐ隣にグリムリーパーがこちらを見て立っていた。
 驚くユージーンの鼻先で、グリムリーパーは息を吐いた。

 ・・・・・。

 ユージーンはつまらない人生を送ってきたことを嘆いた。

 いいことのひとつもなかった人生で、初めて手に入れた特殊能力を、性の快楽に費やしてしまった。
射精しては後悔し、精力が回復するとまた射精して後悔する。

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