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はなむぐり
第8章 花に包まれる

夕飯後に買ってきた果物の盛り合わせを少しだけ食べ、満腹でぼうっとしていると蜜樹がお風呂に向かった。いつも通りのことだが、繋がる瞬間がこうして目の前までくると気持ちが慌ただしい。こんな私に身を任せたいと言う。信じていないわけではなかったが、この身体で奪っていいものか。姪の身体を舐め回しておいてよく言えるなと自分でも思う。蜜樹を愛した罰は今のところないが、この先待ち受ける罰を覚悟している。
目を瞑ると桶が置かれる音、張りのある乳房とお尻、シャワーを浴びて水が滴る茂みが浮かぶ。
熱い息を右の手のひらに吐き出して、壁際に置かれた木製の棚にいる兄に向かって正座をして口を開いた。
「兄さんの可愛い娘さんを好きになって、ずっと好きで。今日、抱くんだ。たくさん抱くよ。自分のすべてを捧げるから。あなたの娘さんを私が何が何でも守ります。こんな弟で申し訳ごさいません」
実家にもある同じ写真はここだと表情が違うように見える。気のせいかもしれないが、日によって明るかったり元気がなさそうに見えたり。隣にある兄と私の幼い頃の写真は変わらずだが。
今日はどことなく優しそうに見えた。なんとなく。
兄は真面目でできが良くて、端整な顔立ちと男らしさが羨ましくて。ただ、つい最近母さんから聞いたのは、兄は誰にも縛られない私ののんびりとした性格が羨ましかったそうだ。しっかり者の兄だからこそ、だらしがない女性をなんとか更生させようとしていたのかもしれない。家庭を持てば変わると信じて。
「おじさん、いいよぉ」
「あぁ。分かったよ」
脱衣場から蜜樹の気だるそうな声が聞こえ、外しておいたお気に入りの朱色のネクタイと細かい傷がついてしまったシルバーのネクタイピンを、頬笑む兄に預けた。

